障害が発生したサーバーに対するフォレンジック調査の申立却下:Bradfield 対 Mid-Continent Casualty Company (2014年フロリダ連邦地裁)

In Bradfield v. Mid-Continent Casualty Co., Case No. 5:13-cv-222-Oc-10PRL (M.D.Fl. Sept. 15, 2014)

原告側の法律事務所のコンピュータシステムに障害が発生しサーバー内のデータが破損。フロリダ州連邦地裁は、破損した原告弁護士のコンピュータおよびサーバーの被告によるフォレンジック調査の申立てを却下しました。

本件で問題となったFRCP(連邦民事訴訟規則)第26(b)(2)(C)条は、裁判所がディスカバリーの範囲を限定するにあたり、ディスカバリーに伴う負担とそれによる利益の比較衡量を求める規定です。この規定は、近年裁判において問題となることの多い規定でもあるとともに、連邦最高裁判所、連邦議会等の承認を前提として2015121日施行予定のFRCP改正案においても、関連する修正(裁判所の命令による制限という事後的な段階ではなく、そもそものディスカバリーの範囲を定める第26(b)(1)条の段階で負担と利益の均衡性を要件化)が予定されています。よって、米国訴訟においてディスカバリーにおいて文書の開示を求められる側となることの多い日本企業にとっては、注目に値するテーマです。

<概要>

建築瑕疵に基づく損害賠償につき建築業者との間で和解した原告が、建築業者に保険を提供していた保険会社(被告)に対し同和解金の支払いを求めた事案。原告の起用した法律事務所においてコンピュータシステムの障害が発生し、ディスカバリーの対象に含まれると思われるものも含めてサーバー上のデータが破損した。被告は、原告弁護士のコンピュータおよびサーバーのフォレンジック調査を求めて裁判所に申立てを行った。

<裁判所の判断>

FRCP26条に関する2006年改正時の諮問委員会注釈では、電子情報のソースが合理的にアクセス可能ではない場合、開示に関する負担および費用を上回る開示の必要性につき開示請求者に立証責任があるとされている。本件において裁判所は、法律事務所におけるシステムの損傷の状況およびその後同事務所起用のIT専門家ののデータ復旧・開示の努力を勘案した上で、被告より開示を求められている電子情報は「合理的にアクセス可能ではない」ことが原告により立証されたと判断した。その上で、裁判所は、原告が被告側が同調査の必要性を主張するのに十分な証拠開示を行っていたこと、それにもかかわらず、裁判所による「同調査により取得しようとしている情報は何か」といった質問に対し被告が具体的に回答しなかったことから、被告はフォレンジック調査が必要である正当な理由についてその立証責任を果たさなかったとともに、開示を求めている情報は原告自身や弁護士等の別の情報源からすでに得られており、フォレンジック調査は重複的なものになる可能性が極めて高いと判断した。

なお、本件では被告側はフォレンジック調査のコストを負担することを申し出ていたが、裁判所は、第26(b)(2)条における「不当な負担および費用」には、調査によりシステムの中身を相手側に見せる必要があること、およびそれに伴うプライバシー侵害の懸念も含まれるものとした。

参照(決定原文):https://scholar.google.com/scholar_case?case=14283006869254326311&q=Bradfield+v.+Mid-Continent+Casualty&hl=en&as_sdt=2003

2015

3/31

リーガルテクノロジーの業界動向-ILTA 2014

第37回 ILTA (International Legal Technology Association)

2014年8月18日から4日間、ナッシュビルのゲイロード オープリーランド リゾートにおいてILTA 2014が開催された。2,000名程度のリーガル・ITプロフェッショナルが集まった世界最大級展示会であるILTA’s Annual Educational Conferenceに参加し業界動向を視察した。

<リーガルテクノロジー>
Eディスカバリー・ソフトウェア(データ収集・処理・レビューを行うソフトウェア)の市場は飽和状態にあるようで、新しい製品展示は無かった。予測コード付(Predictive coding)などの技術も前年度まではブースを騒がせたが、本年度は一定の落ち着きを見せているらしく目新しい技術展示はなかった。
気が付いた点としては、法律事務所や社内知財・法務部が使うITインフラとして「セキュリティ」「クラウド」「BYOD」などの切り口での展示が多くなっていたことである。

<業界動向>
Rob BeckStrom氏のKeyNoteのスピーチは、「Cybersecurity and Risk Management」として、リーガルテクノロジーにおけるサイバーセキュリティとそのリスクマネージメントが議論された。
blog1これは、リーガル業界でも日常業務でのスマートフォンやタブレット等のディバイスの普及に伴い、「サイバーアタック」や「情報漏えい」対策の関心が深いことを示している。Rob氏は法律事務所へサイバーセキュリティ対応の3ステップを纏めとして説明し、リスク管理の重要性を強調。

以下注目度の高いと思われるキーワードごとに簡単に解説する。 Read the rest of this entry →

2014

8/26

米国における電子データの証拠性(Admissibility)

米国裁判所へ電子データを証拠として提出する際に、電子データの証拠能力については下記の2つの法律がフレームワークとなっている。

(1) 連邦証拠規則 (FRE:Federal Rules of Evidence)
(2) 電子通信プライバシー保護法(ECPA:the Electronic Communications Privacy Act of 1986) Read the rest of this entry →

2014

4/23

外国企業の対人管轄権に関する最高裁判決

Daimler AG v. Bauman et al. (No. 11-965) (U.S. Jan. 14, 2014)

外国の企業の管轄権に関して、最高裁が控訴裁の判決を覆し、外国親企業が子会社を有しない州において一般管轄に服しない旨判示した。米国での訴訟は、各州の裁判所によってさまざまな特色があり、いずれの州において訴訟を進めるかが重要なポイントである。 Read the rest of this entry →

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2014

2/21

ディスカバリー・プロセス不備でコストシフトの制裁か?その1

In Re Actos (Pioglitazone) Products Liability Litigation, 6:11-md-02299,
U.S. District Court, Western District of Louisiana (Lafayette)

製造物責任訴訟において、関連書類を破棄したとして、被告の武田薬品工業(株)が制裁を受ける可能性がある。本訴訟は、糖尿病治療薬「アクトス」が原因で原告の男性らが膀胱がんを患ったことを理由に、2011年12月に同治療薬を製造販売する武田薬品工業を提訴したものである。

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Eディスカバリーに関する調査へのご協力のお願い

eDJ GroupによるアジアにおけるEディスカバリーに関する調査が行われております。
アジア地域でのEディスカバリーの現状について、各社の対応状況等より正確な統計をとるためにもぜひ調査にご協力ください。

詳細は弊社USのウェブサイトにてご確認ください。
>>First Asian eDiscovery Survey by eDJ Group

2013

10/23

米大手データ仲介会社の個人情報流出

 米国大手のデータ仲介業者3社の社内システムがハッキングされ、アメリカ在住者の社会保障番号や生年月日、クレジット情報等の情報が個人情報窃盗サービスによって盗み出された。さらには、これらの個人情報がインターネット上で取引されてたことが分かっており、機密情報の開示だけでなく、これらの情報が不正使用されないか懸念されている。 Read the rest of this entry →

2013

10/2

パテントトロールの特許が無効との略式判決

Digitech Image Techs., LLC v. Elecs. for Imaging, Inc., No. 8:12-cv-1324-ODW(MRWx) (C.D. Cal. July 31, 2013) (ECF No. 88)

特許侵害訴訟において、2013年7月31日、パテントトロールの特許が無効であるとのサマリージャッジメントが出された。本件は、数多くのデジタルカメラ関連の企業及びその小売業者が提訴されたケースであり、この略式判決により被告が見事に勝訴し、多額の訴訟費用を回避することができた。 Read the rest of this entry →

2013

9/13

Eディスカバリー義務違反:代理人に対する金銭的制裁

Branhaven, LLC v. Beeftek, Inc., Civ. No. WDQ-11-2334 (D. Md. Jan. 4, 2013)

Eディスカバリーにおいて電子文書の提出が遅れ、対応が不適切であったとして、原告側の弁護士及び法律事務所に対して制裁が下された。訴訟当事者ではなく代理人が、情報開示義務違反として制裁を受けることは稀である。 Read the rest of this entry →

2013

5/29

ITC 337条調査に関する有用サイト

近年はNPEITC337調査は関連が深く、ITC337調査の最近の動向は下記のブログでアップデートされている(英語)。弊社Ji2でもモニターしておりタイムリーな情報提供には有用なサイトの一つである。

ITC 337  LAW BLOG

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2013

5/10